生活空間の共有 tena-jp.com 農と食

 「生活空間の共有」とは、いろいろところに住んでいるいものが、生活の視点でいろいろなことを考えてみようという試みである。生産者対消費者という構図では見えてこなかったものお互いの接点である「生活」というくくり方で見直してみようという試みである。その試みは今も続いている。

生活者の視点でのオンライン交流の展開について

十勝の農地 十勝の農地 十勝の農地

十勝平野の芽室の農地

写真:十勝の畑の写真  都市と農村の生活や情報断絶や対立ということが話題になったことがある。この問題はお互いが持つ情報不足やちょっとした誤解や先入観に基づいたものが多い。しかし、本来ならばお互いの住む地域の実態の中でお互いが理解しあうことで新しいお互いの生活を創っていくことが可能なのではないか・・・・・。

 そのためには、都市と農村=消費者と生産者という視点ではなく、「生活者」の視点でお互いの生活を見直す必要があり、そのためのネットワークが必要だという提起がなされた。

写真:オフの集合写真  この提起は今から約15年前にさかのぼることになる。今から15年前といえば、インターネットも普及していなかった時代ではあったが、電話回線を利用したパソコン通信のメディアでその会話がなされた。距離的には遠い北海道の畑作を中心とした農業地域である「十勝」の仲間と、横浜を主体にしたネットワーカーがお互いの日常生活をいろいろ交流しようという動きが展開したのである。その後インターネットの時代になり、なぜか一時のような盛り上がりはなくなってしまってはいるが、お互いがWebサイトでの掲示板や今日ではブログサイトを開設するなどして交流を続けている。

写真:LS2のネットワークに参加する仲間が集まってのオフ(帯広にて)

LS2とは何か・・・十勝の農家・掘田さんの提起(1990年)

掘田氏  【電直】論の90年版を書きながら、もうあと1日で91年を迎えてしまうという、なんとなく「締切思考」が働きそうになってしまっているOMPです。実は、【電直】論をまとめながら、ここ数日なんとなく頭の中にもやもやしたものを感じてまして、それがいったい何なのか、ちょっと考えこんでました。そうそう、これって、最近の僕のパソコン通信に対する関わり方への自問でもあったのですよ。 「ぼくのやりたかったネットワーキングって、こんなものだったのかなぁ」って。で、GV3−6での「GVの雑誌化現象」の話も手伝って、いまひとつ吹っ切れないものを僕自身の中に感じてたのです。それと「国際化」ということ。これは、とりもなおさず「ボーダーレス社会」に向かって、僕たちはどのような生き方をしていけばよいのかという問題でもあると思うんです。

※ GVとは、当時のパソコン通信ネットPC-VANの中にあったグローバルビレッジというコミュニケーションサイトのこと

雪の北海道  やっと冬らしくなって、冷たい風が吹き抜ける堆肥場の除雪をしながら、ずっと考えてました。積もった時は、とってもネバネバと湿けっていた雪も、氷点下の風にさらされてすっかりサラサラとなっています。まるで粉です。 そこで、ハッとしたんですね。人間関係も寒風にさらされると、こうしてサラサラとした、まるで一つ一つの雪の粒が勝手気ままに、他人の存在などいっさいおかまいなしに我が道を進むようになってしまうんじゃないかって。じゃ、何が必要だろうって。ご存じのように、GVで優れもののPDSが紹介されると、あっという間にダウンロードの嵐が吹きまくります。「ええっ?GVにはこんなに人がいたっけ?」でも、あのカウントは間違いなく、PDS利用人口そのものなんですね。

※ PDS(Public Domain Software)とはフィリーソフトウェアのことを当時はこのように呼んでいた。製作者が著作権を放棄したソフトウェアという意味である。

十勝の農村のアイスクリーム屋さん  こんなことで、通信をやっている人の意識をすべて評価することは危険なのだろうけど、「ちょっとおかしいんじゃない?」と言いたくなってしまうんです。 パソコン通信は、人と人とをつなぐもの、その結果として地理的な隔壁や意識の障壁がやがてなくなっていく、つまり「ボーダーレス」への着実なルーチンだと・・・。でも・・・、今のままではどうやらニューメディアの旗手も結局は熱心な書き手の消耗戦に終わってしまうんじゃないのかと。国民性なんていうと、ますます評論家になってしまいそうなので、口が重くなってしまうのですが、「責任とリスク」というものに極力関わりたくないという、いってみれば「囲いこまれた安全」という人間があまりにも多いのではないかって。

十勝の牧場にて  農業をやりながら、結構目にする「売れる品物さへできればいいさ」的な意識をもつ同業者の姿、やはり悲しくなってしまう。。。消費する側だって、同じだと思うのですよね。なぜ、自分達の生存、そしてどんどんと出生率が低下している「次世代」の担い手たちの生存について、真剣に対処していこうとしないのかって。カロリーベースでの自給率が、今年はまた1%下がって、49%となりましたよね。でも、「だから、どうしたっていうんだ」と思ってしまう人、かなりいるんじゃないだろうか。「いま」という時点と場所から、どれだけ範囲を広げてものを見、そして対処していこうとする「生活者」たる自分がいるだろうかって。

ふるさと銀河線・高島駅  悲観的な見方をすれば、今の日本ではお互いが何等化の責任とリスクを持ちながらのネットワーキングというものは、成立しえないのではないかと、ふとそんな事を考えてしまったのです。 つまり、あくまで責任とリスクを負わないで、自分だけ楽しめればそれでいいという、利己的、かつディスプレイの外で孤立したがるパソコン通信です。【電直】論をまとめながら、どうしても「先行きに不安いっぱいの孤立した農民」と「飽食の時代なのだから、それでいいじゃない的消費者」像を払拭することができませんでした。(まだ、完結させてないけど・・・)パソコン通信は、もはや「旧メディア」なのかもしれない、なんてね。

十勝・更別での子どもたちの芋掘り  でも、そんな挫折感を味わうためにわざわざパソコン通信をやっている訳じゃないのだし、それならリフレッシュして、自分自身にとっての「ニューメディア」にしようじゃない、と思ったのです。一つ、これは大前提なのだけど、「与えられた書き込みの場」なんて思わないで、ボトムアップ的に、小さな責任とリスク意識をお互いが持ち会って、「自分たちのネットワークを作るんだ」という場に変えること。「会社人間」がただちに「会社人間」をやめてしまうことはできない相談かもしれないけど、会社以外の場で(例えば、GVで)リクリエートできれば、少しは社会も明るい展望が開けてくるかもしれない。

更別のキャンプ場  で、僕がいいたいのは、単なる「意識とか雰囲気」にとどまるのではなく、目に見える形のネットワーキングをやってみようよ、ということなのです。今の時間と空間を限定された会社中心社会にあっては、それぞれがお互いの領域の中をわき目もふらずに走り回るという、まさに「ケージの中の鶏」みたいな行動しかする余裕がないんじゃないかと思うのですよ。だから、与えられた空間の中をいかに豪華に演出するかに腐心し、その豪華さのために費やされている犠牲や危険など、まったくうわの空でいられるんじゃないのかって。こんな国って、他にありますか? 今年一年を振り返っても、よく登場したのが「バブル経済」でしたよね。

十勝清水・牛の放牧 「衣食住」、衣は世界のモードが瞬時に取り込まれてしまうご時勢ですし、食は「自給率30%を割った飽食の時代」です。あと残っているのが「住」だから、金融のマネーゲームで膨らんだ「泡」が土地をどんどんと侵食していった・・・、それがオイル依存の国情を直撃した中東湾岸危機によって「泡」が吹っとんでしまった。 日本人の性質として、こうした危機意識には敏感に反応して、すぐに身近な防御に走るっていうのがあると思うのですよ。こうした切迫した場面にはすぐに口をとがらかすのに、長いレンジでの思考力に欠けている、または自分への直接的な影響が去れば、あとは知らん顔になってしまう傾向、ないかなぁ。

十勝(芽室)の農地  だから「社会資本」という考え方が、いつまでたっても根付かない・・・「目に見えるものには弱い」、それがPDSダウンオンリーユーザーの姿じゃないだろうか。 そこで、【電直】のいいだしっぺからの提案なのだけど、来年は「目に見えないものへの挑戦」をしよう、ということなのです。これって、今の平均的(というよりも、何でもすぐに平均的になりたがる日本人って言った方がいいかな?)な日本人、国際社会に順応しそこないそうな日本人への挑戦といってもいいかもしんない。(おっと、大風呂敷!)で、これは僕が最近、どうしても吹っ切れない「旧メディア感覚のネットワーキング」からの脱皮の意味もあるのです。

十勝(芽室)の農地  「目に見える形(つまり、人間ネットワーキング)で、目に見えないものに挑戦しよう」というものです。具体的には、【電直】を機軸としたナショナルセンター的な場をここに作ろうということ。アイテムは、「Live Space Sharing」です。この「LS2構想」を実現するために、机上の空論から一歩踏み出して、「より豊かな生存空間を実現させるための実験」をやりませんか。(パソコン通信でよく見かける「舌戦の泥試合」も、虚実の見境がつかない文 字空間がその温床にあることは明白です)そこで取り組む実験は、ネットワーカーを情報発信源として、その回りの非ネットワーカー農民を「LS2構想」に呼び込む訳です。

大型機械倉庫  また、【電直】における農産物の受け手の側も、生産者グループ支援のためのサポート体勢を用意するわけです。いまの生産、消費をめぐる問題では、双方があまりにも孤立し、自分勝手にそれぞれの言い分をボソボソと述べあうという一面がありますよね。生産の現場が明るくならない限り、いつまでたっても「おいしいもの」は手に入らない、これが「LS2構想」のキーポイントです。そこで、おいしいもの、安全性のより高いものの提供を受けるために、生産者ネットワーカーを一方の核に、また、元気の出る農民を支援する応援団ネットワーカーをもう一方として、【電直】ネットワーキング網を作ろうというものです。

掘田さんの家の近くの交差点  最初は、モデル的に提携グループ、それから支援グループを双方で構築し、有形、無形の電子的交流を計画します。(オンラインマガジンの発刊なんていうのも、面白そう!)市民農園(クラインガルテン)的な発想で、土地を持たない都市生活者の遠隔地菜園をオンライン契約(なんていうと固いなぁー)でやろうというわけ。大切なことは、たえず「特定の個人」を意識するような生産の現場、消費の現場を生み出すこと、これです。これがないと、「責任とリスク」がどうしてもうやむやになってしまいがちで、「生産−消費−再生産」という「LS2」の循環ができあがらない!お互いが楽しくやれて、それでいてあまり負担にならない程度の適度の責任と緊張を持ちあう、これが今回提案する「LS2構想」なのです。

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